建築設計プラットフォーム
第51回 日影計算が実行できない?
~見落としがちな入力要素をチェック~
【概要】
日影規制への適合確認の際に、i-ARMの日影規制コマンドをご利用いただく場面は多いのではないでしょうか。今回は、日影計算でエラーが発生した際に、意外と見落としがちなチェックポイントをQ&A形式でわかりやすく解説します。
「日影計算を実行したらエラーメッセージが出てしまった…」そんなご経験のある方、これから日影計算を業務で活用される方にも必見の内容です。
※i-ARMの日影計算については以下を詳細をご確認ください
・i-ARMにおける日影計算の考え方
【1】「日影測定線作成に失敗しました!」メッセージ
Q:
計算実行すると「日影測定線作成に失敗しました!」とメッセージが表示されました。何が原因でしょうか?
A:
複数の用途地域を設定している状態で、その範囲が敷地の内側にしか存在していなかった場合、日影測定線の生成が失敗する可能性があります。このような場合は、用途地域の範囲を敷地外にも拡げたうえで、再度計算を試してみてください。
補足:
日影測定線を生成する際、用途地域が1つのみ存在する場合は、周辺一帯が同一の地区地域であると見做してそのまま計算を進めることができます。一方、複数の用途地域が存在する場合は、日影測定線がどの用途地域にどのように重なるのかを特定する必要があります。日影測定線と用途地域の位置関係が特定できない場合は、日影測定線の生成を続行することができません。
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日影測定線を生成できない例
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日影測定線を生成できる例
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【2】「計画建物モデル作成に失敗しました!」メッセージ
Q:
計算実行すると「計画建物モデル作成に失敗しました!」とメッセージが表示されました。何が原因でしょうか?
A:
日影計算を実行する際、入力された情報から対象の「計画建物」を抽出しています。もし何らかの理由で抽出が正常に行われなかった場合には、上記画像のようなエラーメッセージが表示されます。その際は、まず以下のポイントを確認してみてください。
1)要素が敷地形状の外に存在しないか
入力要素が敷地形状の外側に存在している場合、計算対象となりません。
2)要素の所属が敷地外になっていないか
要素の[所属]が「プロジェクト」 の場合、当該敷地以外の要素と判断され計算対象となりません。
計画建物と見做したい要素を選択してプロパティの所属を敷地以降の要素に変更して、計算してみてください。
参考:モデルの基本構造
要素の親子関係はプロジェクト→敷地→建物→階→…となっています。
3)平均地盤面高さの設定がおかしくないか
入力要素が平均地盤面高さより低い部分に存在している場合、計算対象となりません。
【まとめ】
今回は日影計算が実行できない際にありがちな原因と、その確認ポイントをご紹介しました。形状に関する問題は比較的気づきやすい一方で、平均地盤面高さの単位入力ミスなど、見落としがちな設定が原因となるケースも少なくありません。計算する際に「いつもと違う…?」と感じた際には、ぜひ本記事の内容を思い出していただき、スムーズな解決にお役立ていただければ幸いです。
【参考】


