建築設計プラットフォームi-ARM

第52回 天空率計算の対象に地盤は含まれる?含まれない?

~算定点が地盤面高さと異なる場合の天空率計算~

【概要】

今回は、算定点が地盤面高さと異なる場合の天空率計算について考察します。


天空率計算における算定点の高さは、敷地の地盤面高さと道路の高さ(または隣地の地盤面高さ)との関係で決まります。そのため、算定点が必ずしも敷地の地盤面と同じ高さになるとは限りません。

※算定点の位置に関する基本的な考え方については、i-ARMのヘルプをご確認ください。


以下では、算定点が地盤面より高い場合と低い場合について、i-ARMでの計算の考え方を見ていきたいと思います。



【算定点が地盤面より高い場合】

算定点が地盤面より高い場合、天空率は算定点を含む水平面より上方にある建物だけで算定します。i-ARMでは算定点より低い建物、又は建物の部分は自動的に削除して天空率を計算します。

この場合、入力や計算の際に注意していただくことは、特にありません。

例)敷地の地盤面高さ<道路中心高さ → 敷地の地盤面高さ<算定点高さ

計画建物

適合建物




【算定点が地盤面より低い場合】

算定点が地盤面より低い場合、i-ARMでは、計画建物と適合建物の双方に地盤全体の形状を加えて天空率を計算します。

例)道路中心高さ<敷地の地盤面高さ → 算定点高さ<敷地の地盤面高さ

計画建物

地盤全体を計算に含める

適合建物

地盤全体を計算に含める


「あれ?天空率計算の対象は建物だけじゃないの?」と思った方もいるのではないでしょうか。これからその理由をご説明いたします。また、最後に注意点の説明もありますのでご確認ください。


地盤全体を天空率計算の対象に含める理由は、2つあります。

地盤全体を計算に含める理由1

1つめは、国土交通省の技術的助言である「国住街110号」の第3の②で次のように定められているためです。

天空率の算定位置が建築物の敷地の地盤面よりも低い場合には、建築物の敷地の地盤を含めて天空率を算定すること


地盤全体を計算に含める理由2

2つめは、地盤全体を含めないで天空率計算を行うと、正しい結果が得られないためです。


以下の建物を例にして考えてみます。

・地盤面は道路から8m高い

・前面道路は6m幅で、建物は道路から6m後退している

・建物の高さは28m

・壁面後退算定の対象外である塀がある

※「壁面後退算定の対象外である塀」の参考記事:第23回 天空率計算の後退距離について


この場合、右の図のように道路斜線(勾配1.25、適用範囲30m)には適合していません。


以下の3つのパターンで天空率計算を考えてみます。

1.地盤を計算の対象に入れない(地盤なし)

2.地盤のうち、計画建物と適合建物の平面投影範囲だけ対象とする(地盤部分)

3.地盤全体を計算の対象に入れる(地盤全体)


パターン1)地盤を計算の対象に入れない

地盤を計算の対象に入れずに(無視する)計算をしてみます。

建物が浮いた状態になり、見えるはずのない建物の底面が天空図に表れてきます。また、建物の下越しに建物後方の天空が見えています。

どちらも本来は地盤に遮られて見えるはずがありませんから、この天空図に基づいて天空率を計算しても正しい結果は得られません。

計画建物

地盤を無視する

適合建物

地盤を無視する


パターン2)地盤のうち、計画建物と適合建物の平面投影範囲だけ対象とする

計画建物と適合建物の水平面に投影した範囲の地盤だけを、計画建物と適合建物に算入して計算をしてみます。

天空図上で建物が浮いて見えたり、建物の底面が見えたりすることは無くなりました。しかし、地盤部分が計画建物と適合建物で異なるため、計画天空図では天空を遮って天空率を下げているのに対して、適合天空図では天空を遮らず天空率を上げてしまっているのがわかります。

個々の天空図としての問題は無くなりましたが、これでは計算結果の判定では不合理に影響を与えることがわかります。

計画建物

水平投影範囲の地盤を計算に含める

適合建物

水平投影範囲の地盤を計算に含める


パターン3)地盤全体を計算の対象に入れる

下の図は地盤全体を計算に含めた場合の計算結果です。

天空図上で建物が浮いて見えたり、建物の底面が見えたりすることはもちろんなく、地盤全体を計画建物と適合建物の双方に加えているため、地盤に掩蔽された部分の影響を公平に考慮した状態で計算結果が得られます。

計画建物

地盤全体を計算に含める

適合建物

地盤全体を計算に含める


以上の理由により、i-ARMの自動生成処理では、天空率算定エリアごとに全ての算定点の位置を確認して、地盤面よりも低い算定点があった場合、地盤全体を計画建物と適合建物に加えるようになっています。


注意点

「国住街110号」の第3の②では、地盤の範囲や計算対象が明記されていないこともあり、審査機関によっては、i-ARMと異なる解釈をされる可能性もあります。申請先の判断が i-ARMの解釈と異なる場合は、申請先の判断に合わせて計算してください。



【まとめ】

いかがでしたでしょうか。


今回は少し難しい内容ではありますが、多くのお問い合わせをいただいているテーマであることから、算定点の高さが地盤面高さと異なる場合の天空率計算の考え方と、i-ARMでの算定方法について、今回あらためて整理しました。


地盤面の高さが異なる条件で天空率計算を行う際に、本記事が参考になりましたら幸いです。



i-ARMの
資料・評価版・購入はこちらから。

ページトップへ戻る