建築設計プラットフォーム

第30回避難できるか確かめてみよう

～歩行距離の確認方法～

【概要】

建築基準法では、居室がある階について災害時に短時間で避難できるように居室から直通階段や避難出口までの歩行距離が規定されています。i-ARMの避難経路コマンドでは、各階の居室から直通階段や避難出口までの避難経路（歩行距離）を算出して、計画している建物が避難上安全かどうかの確認や検討を行うことができます。

今回は、避難経路の確認方法についてご紹介します。

歩行距離とは
i-ARMの避難経路コマンド

【歩行距離とは】

建築基準法では、居室がある階について災害時に短時間で避難できるように居室から直通階段や避難出口までの歩行距離を規定しています。歩行距離は、『避難階』と『避難階以外の階』で異なります。避難階とは、直接地上へ通ずる出入口のある階のことで、１階となることがほとんどです。

避難階

・各居室から主要な出入り口まで『令120条の歩行距離×２』以下

・直通階段から主要な出入口まで『令120条の歩行距離』以下

避難階以外の階

・各居室から直通階段まで『令120条の歩行距離』以下

令120条の歩行距離

適用建築物	主要構造部	準耐火構造・不燃材料				左以外の構造
	階	14階以下 (避難階を除く)		15階以上
	室内に面する部分の仕上げ	準不燃	左以外	準不燃	左以外
・特殊建築物・階数3以上の建築物・採光上の無窓居室のある階・延べ面積＞1000㎡の建築物	採光上の無窓居室	≦40m	≦30m	≦30m	≦20m	≦30m
	百貨店や物販店など
	病院や共同住宅など	≦60m	≦50m	≦50m	≦40m	≦30m
	上記以外	≦60m	≦50m	≦50m	≦40m	≦40m
	メゾネット式共同住宅(※1)	≦40m(※2)

※1 : 主要構造部が準耐火構造以上で、1住戸が２～３階のもの

※2：廊下への出入口のない階の居室の一番奥から直通階段までの距離

「避難：歩行距離について」も合わせてご覧ください。

【i-ARMの避難経路コマンド】

「法規」タブー単体規定の「避難経路」

必要な情報

避難経路の算出を行うには、事前に部屋や窓、ドアの情報が必要になります。

部屋

避難経路算出のために、居室、廊下、階段などに分けた避難経路用のゾーンを部屋をもとに生成します。部屋名から自動でゾーンの振り分けを行います。また、部屋のプロパティ「室種別」を設定していた場合には、そちらの設定を元にゾーン分けを行います。

開口

ドア

窓

モデルの開口や建具から隣の部屋や外部への移動を判定します。避難経路の判定では、人が通過できるかの判定のために開口や建具の寸法も考慮されます。

また、開口や建具の属性で「通行可否種別」を設定していた場合には、そちらの設定を優先して経路判定を行います。

計算の流れ

①「法規」タブー単体規定の「避難経路」からコマンドを起動します。

コマンドを起動すると、避難経路用のビューが生成され、下記ダイアログが表示されます。

経路を計算したい階を選択し、避難階かどうかを設定します。（避難階はデフォルトでは１階となります。）

② 「一括計算」ボタンをクリックして経路計算を行います。

一括計算ボタンでは、避難経路用のゾーンの生成、経路の生成を一括で行います。

避難経路用のゾーンは、「未設定」「居室」「非居室」「廊下」「附室」「階段」「昇降機」「外部」に分けられます。

経路の生成では、居室から直通階段まで、避難階の居室から出口、避難階の階段から出口までの避難経路を算出します。

	階における居室から直通階段までの歩行経路
	居室の直通階段までの最短歩行経路
	居室の直通階段までのその他の歩行経路
	避難階における居室から屋外への出口までの歩行経路
	避難階：居室の出口までの最短歩行経路
	避難階：居室の出口までのその他の歩行経路
	避難階における階段から屋外への出口までの歩行経路
	避難階：階段の出口までの最短歩行経路
	避難階：階段の出口までのその他の歩行経路
	ゲート要素出口（直通階段）
	ゲート要素中継点
	ゲート要素不明