
藤本壮介建築設計事務所「検討するスピードが上がります」

藤本壮介建築設計事務所は、2000年に設立され、2004年 JIA新人賞「伊達の援護寮」や2008年 JIA日本建築大賞「児童心理治療施設」など、 数々の賞を受賞しています。 事務所設立者の藤本壮介様は、東京、パリ、深圳にオフィスを構え、海外でも多くの作品を生み出されている建築家です。 住宅から公共施設まで多くのプロジェクトが進行しており、現在は、「2025年大阪・関西万博」の会場デザインのプロデューサーとして活躍しています。 今回は、様々な建築物で日本のみならず世界を魅了し続けている藤本壮介建築設計事務所の設計部長の岩田正輝様に、i-ARMの活用について話を聞きました。
事務所名 |
藤本壮介建築設計事務所 |
---|---|
設立 | 2000年 | 所在地 | 東京都江東区 |
主な作品 |
マルホンまきあーとテラス 石巻市複合文化施設 [宮城] House of Music, Hungary [ハンガリー] 白井屋ホテル [群馬] |

i-ARMを導入された決め手を教えてください。

岩田様
これまで色々な日影計算・天空率計算のソフトを使ってみた結果、i-ARMが一番使いやすいということになり導入に至りました。
設計のメインとなるモデリングはRhinocerosを使っているのですが、 i-ARMはRhinocerosとの互換性が良く、
スムーズにモデリングデータを渡せて、ボリュームチェックが行えます。i-ARMは、自身の世界で閉じておらず、Rhinocerosをはじめ他のソフトと連携できます。
連携がうまくできないとRhinocerosでモデリングしたデータを、同じようにi-ARMでも入力しなくてはなりません。
そうなると手間もかかり、入力ミスも発生します。様々なプランを検討する中で、
ソフト毎に入力をする手間が無くなれば、それだけ検討スピードも上がり、プランを検討する回数が増えるので、成果物のクオリティへとつながります。
i-ARMをどのように利用されているか教えてください。

i-ARMは、計画の初期段階で、高さ制限や日影、天空率などの建築基準法をクリアしたボリュームを把握するために利用しています。
我々の手掛けるプロジェクトは、すでに事業計画のある場合や、個人のクライアントからの案件もあります。
クライアントの希望や条件の中から、まずボリュームスタディを行います。
その際に、希望の面積であったり高さであったり、その敷地でクライアントの要望を踏まえた上でどのような提案ができるかを検討します。
また、周囲の環境に調和するためどのようなボリュームの建ち方が可能なのかといった検討も重要です。
細かなプランを作る前に、i-ARMで法規や基準や要望を満たしているのかを確認しています。
プランニングは、3次元で行われているのでしょうか?

基本的にデザインの検討は3Dモデルで行うことが多いです。
3Dモデルでデザインの大枠を決め、2Dの図面へ落とし込みます。
2Dの図面では、プランニングやディティールなどの機能的な部分や細かい部分を含めた検討を行い、
さらにそれを3Dモデルにフィードバックしてデザインを確認します。3Dと2Dを何度も行き来することで設計の深度を高めていきます。
様々なプロジェクトが同時並行で行われていると思いますが、
プロジェクトはどのように進められていますか?

弊社は、大きく国内チームと海外チームに別れています。
それぞれ複数のチームがあり、プロジェクトの性質や他のプロジェクトとのバランスによって、プロジェクトをチームに配置します。
一人一つのプロジェクトを担当するのではなく、チームで複数のプロジェクトを進めていくかたちとなっており、チームリーダーがマネジメントしています。
デザイン検討の進捗報告などはビジネスチャットを利用して藤本とコミュニケーションを取ります。
それに対して藤本からスケッチやコメントなどのフィードバックが届きます。さらにそれを元にアップデートを行う。
プロジェクトの状況にもよりますが、こういったやり取りを、一つのプロジェクトで一日に数回行いながらプロジェクトを進めています。
設計ツールにどのようなことを求められていますか?

代表の藤本は面白いもの、新しい技術やツールに抵抗がありません。数年前からVRをデザインの確認ツールとして導入しました。
これまでと変わらずCGや模型の作成も行いますが、VRはそれらとはまた違ったメリットがあり十分に活躍しています。
最近ではChat GPTなどのAIを利用し、初期のアイディア出し、イメージの作成などを行なっています。
現在、設計ツールはとても多様になっていると思います。その中で我々にとって最適なものを発見し、
どの局面でどう使うかがとても大事だと思います。そういった様々なツールを知っているのと知らないのとでは全く違います。
私たちは限られた時間の中で、建物ができるまでのすべての過程を効率的にこなし、高いパフォーマンスを発揮しなくてはいけません。
それを可能にするため先進的でありながら汎用性の高い新しいツールが誕生するのを期待しています。
「最後に」
今回は、藤本壮介建築設計事務所の岩田様にお話を伺いました。建築プロジェクトは多種多様な関係者、ソフトウェアが関わるという特徴があります。
BIMやCAD、GIS、3Dなど様々なファイルフォーマットに対応し、 その中でも建築プロジェクトのスタートアップツールとしてボリューム検討が行えるi-ARMを、
十分にご活用していただけて嬉しく思います。 今後もより設計者の皆様の役に立つツールを提供してまいりたいと思います。
本日は貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。

