建築設計プラットフォーム
第35回 公園・水面・線路敷による緩和について
~敷地境界線コマンド 隣地・道路の緩和種類の入力~
【概要】
i-ARMでは敷地周辺の土地の状況(公園や河川などに接する)によって適用できる高さ制限の緩和に対応しています。以前ご紹介した高低差のある敷地の入力では高低差に関する緩和条件の設定をおこないましたが、今回は敷地境界線コマンドをつかって敷地周辺の土地の状況を入力し、緩和条件を反映させていきます。
【操作方法】※今回は基本的な敷地条件(敷地・用途地域・道路境界線)の入力は省略します。
・リボンメニュー[法規]→[敷地境界線]コマンドを実行します
あらかじめ、敷地と用途地域を入力し、敷地境界線コマンドを実行してください。
<道路の反対側が公園の場合>
通常、道路斜線の立ち上がり位置はその道路の反対側の境界線となります。
しかし、以下の図のように道路の反対側に公園がある場合、道路斜線の立ち上がり位置は、「道路と公園を含めた反対側の境界線」とみなすことができます。そのような場合、実際にi-ARMでどのように入力すればよいでしょうか。
・敷地境界線の道路境界線を選択し、「道路の奥側の緩和種類」の1にチェックを入れ「種類」と「幅(距離)」を入力します。
敷地境界線コマンドダイアログで「道路の奥側の緩和種類」の入力を行います。
「種類」は「公園(街区公園を除く)」を選択します。「幅」は、公園の反対側の境界線までの距離を入力します。※ビュー上では公園のエリア等は表示されません。
・緩和を考慮した道路斜線の計算結果
以下は斜線制限コマンドで道路斜線を出力した結果です。
左図は緩和なし、右図は緩和ありとなっています。緑の敷地境界線の位置での高さの限度が大きく異なることがわかります。
[緩和対象となる土地の種類]
i-ARMで入力できる緩和対象の土地の種類は以下の表をご覧ください。
緩和対象 |
隣地斜線 |
道路斜線 |
北側斜線 |
日影規制 |
公園(街区公園除く) |
〇 |
〇 |
× |
× |
街区公園 |
× |
〇 |
× |
× |
広場 |
〇 |
〇 |
× |
× |
水面(河川等) |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
線路敷 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
他(道路斜線)※ |
× |
〇 |
× |
× |
他(隣地/道路斜線)※ |
〇 |
〇 |
× |
× |
他(隣地/道路/北側斜線)※ |
〇 |
〇 |
〇 |
× |
他(日影規制)※ |
× |
× |
× |
〇 |
※公園・水面・線路敷に当てはまらない緩和対象の場合は、緩和が適用できる高さ制限を確認し「他」から選んでください。
<敷地が水面に接する場合>
通常、隣地斜線の立ち上がり位置は敷地の境界線となります。
しかし、以下の図のように敷地が水面(河川等)に接する場合、隣地斜線の立ち上がり位置は、「水面(河川等)の幅の1/2だけ外側」とみなすことができます。そのような場合、実際にi-ARMでどのように入力すればよいでしょうか。
・敷地境界線の隣地境界線を選択し、「隣地の緩和種類」の1にチェックを入れ「種類」と「幅(距離)」を入力します。
敷地境界線コマンドダイアログで「隣地の緩和種類」の入力を行います。
「種類」は「水面(河川等)」を選択します。「幅」は、水面(河川等)の反対側の境界線までの距離を入力します。隣地斜線の場合、緩和幅は1/2となりますが自動計算されるので、入力数値は実際の幅を入力してください。
<複数入力>
i-ARMでは、さらに複数の土地の種類を入力し緩和を適用することができます。
例えば以下のような敷地の場合は、1.水路(河川等)→2.他(道路斜線)→3.公園(街区公園を除く)と設定していただくことで、緩和を適用できます。
【まとめ】
ボリューム検討や日影計算、天空率計算など集団規定の機能を多くのユーザーがお使いですが、敷地条件の入力方法がわからない、というお問い合わせをいただくことがあります。ぜひ、各種緩和条件の設定をマスターして使いこなしていただければと思います。