斜線制限について |
◆高さ制限とは
建物が建つと周囲の道路や敷地では日照、通風、視覚的な広がり等が阻害され、一般に環境が悪化します。
そこで、接している道路や隣接地の日当たりや通風を確保するために、建物の高さを制限する規制を設けています。これを高さ制限といいます。
用途地域や都市計画などによってそれぞれの上限値が決められています。
高さ制限は以下の種類があります。
「道路斜線制限」、「隣地斜線制限」、「北側斜線制限」、「絶対高さ制限」、「高度地区」、「日影規制」
斜線制限とは | 道路斜線制限 | 隣地斜線制限 | 北側斜線制限 |
絶対高さ制限 | 高度地区における高さ制限 | 斜線制限コマンド |
ある敷地に建築物を建てる場合、建築物の敷地の境界線に近い部分ほど、その周辺の環境に大きな影響を及ぼします。そこで高さ制限は、まず敷地境界線上での建築物の高さを定め、敷地境界線から離れるほど建てる事のできる高さが高くなるようになっています。
こうした高さの制限に沿って建てられた建築物の頂部は斜面を成すため、一般にこの高さ制限は斜線制限と呼ばれています。
高さ制限の中で、「道路斜線制限」、「隣地斜線制限」、「北側斜線制限」、「高度地区」を斜線制限と呼んでいます。
道路斜線 |
隣地斜線 |
北側斜線 |
|
|
|
敷地境界線が道路に接している場合に適用される制限です。
道路周辺の日照や衛生などを確保するために、道路に面した建物の高さが一定勾配の斜面の内側に収まるように規制しています。
制限の内容
前面道路の反対側の境界線から指定された勾配で斜面を作ります。
その斜面と敷地で囲まれた領域が建築可能範囲です。
勾配や適用距離は、用途地域と容積率によって決まります。
緩和措置
建物を道路境界からセットバック(後退)して建てる場合や、敷地が2以上の道路に接している場合、敷地と道路に高低差がある場合など、条件を満たした場合に制限の緩和を適用することができます。
敷地境界線が隣地に接している場合に適用される制限です。
隣地の日当たりや通風を確保するために、建物の高さを規制しています。
対象地域
第1種・第2種低層住居専用地域、田園住居地域以外
制限の内容
敷地境界線上では高さの制限(基本高さ)が指定されています。敷地内については、境界線上での高さ制限の上端から指定された勾配で斜面を作ります。その斜面と敷地で囲まれた領域が建築可能範囲です。
用途地域が住居系地域の場合は立上がり高さが20m、勾配が1.25、
商業系と工業系の場合は立上がり高さが31m、勾配が2.5となっています。
道路斜線制限のような適用範囲はありません。
緩和措置
建物を隣地境界からセットバック(後退)して建てる場合や、敷地と隣地に高低差がある場合など、条件を満たした場合に制限の緩和を適用することができます。
少しでも北に面している敷地境界線に対し適用される制限です。
住居系地域で隣地の日照の確保を確保するために、建築物の北側の高さを規制しています。
対象地域
第1種・第2種低層住居専用地域、
第1種・第2種中高層住居専用地域
制限の内容
敷地境界線上では高さの制限が指定されています。敷地内については、境界線上での高さ制限の上端から指定された勾配(1.25)で斜面を作ります。斜面の方向は南北軸の方向です。その斜面と敷地で囲まれた領域が建築可能範囲です。
境界線上の立上がり高さは、第1種・第2種低層住居専用地域で5m、第1種・第2種中高層住居専用地域で10mとなっています。
少しでも北に面している敷地境界線に対し適用されます。
緩和措置
北側に水路等がある場合など、条件を満たした場合に制限の緩和を適用することができます。
建物の高さを地域内で一律に規制する制限です。
低層住居地域の日あたりや通風を確保するため、建物の高さを規制しています。
対象地域
第1種・第2種低層住居専用地域、田園住居地域
制限の内容
建物の高さは、10mまたは12m以下に制限されます。
補足
絶対高さ制限がある場合は、隣地斜線制限が適用されません。
都市計画法に定められた高度地区内で適用される制限です。
各自治体が定める「高度地区」というものがあり、建築物の高さの最高限度(または最低限度)を定めています。制限の内容は、全国共通ではなく自治体ごとに異なります。
用途地域における高さ制限と高度地区の制限で、より厳しい方の制限が適用されます。
制限の内容
①高さ制限
建物の高さの最低限度を定める最低限度高度地区(最低高さ制限)と、最高限度を定める最高限度高度地区(最高高さ制限)があります。
最低限度高度地区の割合が非常に少ないため、一般的に「高度地区」と言うと、最高限度高度地区を指します。
②北側斜線制限(高度斜線)
高度地区の制限は、高さ制限に加え、北側斜線制限も含んでいることが多いです。
用途地域における北側斜線制限よりも、高度地区の方が厳しいことが多いです。
北側斜線では天空率による緩和が可能ですが、高度地区では緩和はできません。
確認方法
「高度地区」の内容は市や県ごとに定められています。
制限を確認するには、役所公式サイトを調べる、もしくは、市区町村の都市計画課などの窓口にご確認ください。
斜線制限コマンドを利用して、計画した建物の形状が斜線制限内におさまっているかを確認することができます。
「道路斜線制限」、「隣地斜線制限」、「北側斜線制限」、「絶対高さ制限」、「高度地区」に対応しています。