避難経路


居室がある階について建築基準法では、災害時に短時間で避難できるように居室から直通階段や避難出口までの歩行距離を規定しています。避難経路コマンドでは、各階の居室から直通階段や避難出口までの避難経路(歩行距離)を算出して、計画している建物が避難上安全かどうかの確認や検討を行います。


参考

避難経路計算について


準備      実行方法    計算の流れ    ダイアログ


準備

必要な情報

避難経路算出を行うには事前に以下の要素の入力が必要になります。

部屋

避難経路算出の前に、居室、廊下、階段などの避難経路ゾーンに分けます。ゾーンを生成するもとになるものが、部屋要素になります。部屋を入力し、部屋名を設定しておくことで自動である程度のゾーンの振り分けを行います。

また、部屋属性の「室種別」を設定していた場合には、そちらの設定を優先に参照してゾーン分けを行います。

プロパティ

部屋属性、避難経路ゾーン属性で室種別の設定が行えます。


【室種別】

・未設定:種別を割り当てていない室

・居室:避難経路が発生する室

・非居室:避難経路が発生しない室

・廊下:避難経路は発生せず通過する室

・附室:避難経路の終了または開始となる室

・階段:避難経路の終了または開始となる室

・昇降機:避難経路で無視される室

・外部:避難経路で無視される室

開口と建具

開口や建具(ドア、窓)を通って、隣の部屋や外部への移動が行われますので、開口や建具の入力が必要になります。避難経路の判定では、人が通過できないような小さな開口部を排除する必要がありますので、開口や建具の寸法も考慮されます。

また、開口や建具の属性で「通行可否種別」を設定していた場合には、そちらの設定を優先に参照して経路判定を行います。

開口属性、ドア属性、窓属性で通行可否種別の設定が行えます。


【通行可否種別】

・未設定:種別を割り当てていない開口部

・通行可能:通行可能と見做す開口部

・通行不可:通行不可と見做す開口部




実行方法

リボンメニュー[法規]→[避難経路計算]



計算の流れ

コマンドを実行してからの操作の流れを説明します。

1)階の選択

まず、避難経路検討を行う対象の階を選択します。

「避難経路計算ダイアログ」または避難経路専用の「各階平面ビュー」で、対象階を切り替えることができます。

2)ゾーン生成

避難経路算出のために前準備として部屋要素からゾーン分けを行います。

ゾーンの室種別

モデリングされている部屋要素のエリア分けのままでは、避難経路算出ができない場合があるので、避難経路算出用にゾーンを作成します。


ゾーンの塗属性の初期設定は左のようになっています。

描画属性設定で変更することができます。

(リボンメニュー[表示]→[描画属性])


3)経路生成

避難経路ゾーンを元に避難経路を算出します。

・居室から直通階段までの避難経路の算出

・避難階の居室から出口までの避難経路の算出

・避難階の階段から出口までの避難経路の算出


避難経路要素として以下のものが生成されます。

経路要素:

室種別が「居室」または「未設定」の室に対して経路が生成されます。開始点を対象室内、終了点を階段または出口とした経路が生成されます。


ゲート要素:

通行可能な開口部にゲートが生成されます。

室間の中継点となるゲートと階段への入口や外への出口となる避難上の出口となるゲートの2種類が生成されます。


階における居室から直通階段までの歩行経路

居室の直通階段までの最短歩行経路

居室の直通階段までのその他の歩行経路

避難階における居室から屋外への出口までの歩行経路

避難階:居室の出口までの最短歩行経路

避難階:居室の出口までのその他の歩行経路

避難階における階段から屋外への出口までの歩行経路

避難階:階段の出口までの最短歩行経路

避難階:階段の出口までのその他の歩行経路

ゲート要素 出口(直通階段)

ゲート要素 中継点

ゲート要素 不明


4)経路確認

算出された避難経路の開始終了位置や経路長さなどの情報確認を行います。

自動で振り分けられた避難経路ゾーンの室種別の調整や経路の再生成を行いながら検討を行います。


5)図面出力

検討した避難経路情報を図面として出力します。


[図面出力]ボタンをクリックして図面ビューを表示します。

・ビュー下のツールバーで図面ファイルに保存することができます。




ダイアログ

避難経路を検討する階を選択します。

避難階

出口(外部への出口)のある階に☑をいれます。(通常は1階)

一括計算

指定した階の避難経路計算を一括で行います。

モデルの入力情報を元に避難経路ゾーン生成と避難経路生成を行います。

ゾーン生成

指定した階の入力されている部屋要素を判別して避難経路ゾーンを自動生成します。

既存の避難経路ゾーンや避難経路は削除されます。

ゾーン削除

指定した階の避難経路ゾーンを削除します。避難経路ゾーンに紐づく避難経路も削除されます。

経路生成

指定した階の避難経路を自動生成します。既存の避難経路は削除されます。

経路削除

指定した階の避難経路を削除します。

経路リスト

避難経路情報として、所属するゾーン名称と室種別、また、経路名称と経路長さなどが一覧で表示されます。

ゾーンの室種別の変更が可能です。一覧で選択した行の経路が作業画面上でハイライト表示されます。

図面出力

指定した階の避難経路図を図面データとして出力します。


詳細設定

部屋の室種別の自動割付設定

部屋の室種別の自動割り付け方法を設定します。

避難経路ゾーン生成時に部屋名称から室種別の割り振りを行います。

・割付ない:

・未設定を割付:

・すべて再割付:


避難経路ゾーン生成時の描画属性

避難経路ゾーン生成時に用いる描画属性を設定します。

・室種別属性:室種別ごとに割り当てられている描画属性

・参照部屋属性:ゾーン生成時に参照した部屋の描画属性


開口部の通行種別の自動割付設定

開口部の通行種別の自動割り付け方法を設定します。

避難経路生成時に開口部の要素種別や寸法などから通行可否種別の割り振りを行います。

・割付ない:

・未設定を割付:

・すべて再割付:


開口部と見做す寸法(幅、高さ) [mm]

避難経路生成時に有効と見做す開口部の幅、高さの寸法を[mm]単位で設定します。


経路計算時の壁際からの距離 [mm]

避難経路生成時に壁際から離す距離を[mm]単位で設定します。


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