LVSについて |
建築基準法において、居室は「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。」と定義されています。定義にもあるように人が継続的に使用する室なので規制も厳しく設けられています。その中でも環境・衛生に関する制限として第二十八条(居室の採光及び換気)が、また、防火・避難に関する制限として施行令第百十六条の二(窓その他の開口部を有しない居室等)が規定されています。これらは、居室の床面積に対してある一定割合以上の有効な開口部を有するかどうかを判断基準としています。そのため、居室の確認事項として床面積「A」に対して有効採光面積「L」、有効換気面積「V」、有効排煙面積「S」を併記するような表現をし、ALVSと呼んでいます。
採光・換気・排煙で細かい規定は異なりますが、基本的な考え方は同じで居室に必要とされる開口部の面積(以下、必要開口面積と呼称)より、有効な部分とみなせる開口部の面積(以下、有効開口面積と呼称)が大きいかが判断基準となっており、以下のような一般式で表現できます。
N≦F
N:居室の必要開口面積 F:居室の有効開口面積
居室の必要開口面積は、居室の床面積に対して法令で定める割合を乗じることで算出することができます。
N=A×K
A:居室の床面積 K:法令で定める割合
居室の有効開口面積は、居室にある各開口部の有効開口面積の合計値となり、開口部の有効開口面積は開口部面積に対して補正係数を乗じることで算出することができます。
F=Σf
f=w×a
f:開口部の有効開口面積 w:開口部の面積 a:開口部の補正係数
必要開口面積を算出するための「K:法令で定める割合」は、建築物の種類や居室の用途ごとに定められており「1/5、1/7、1/10」のいずれかの値を用います。
「a:開口部の補正係数」にあたる採光補正係数は、用途地域種別と開口部の位置関係によって求めることができ、建築物の上階にある開口部ほど、有効開口面積が大きくなるような算定式になっています。
a = e ×(α ×d/h - β)
a :採光補正係数
e :有効率
d :開口部の直上から隣地境界線等までの水平距離
h :開口部の中心から直上までの垂直距離
α,β:用途地域種別によって定まる係数
用途地域種別 |
α |
β |
住居系地域 |
6 |
1.4 |
工業系地域 |
8 |
1 |
商業系地域 |
10 |
1 |
必要開口面積を算出するための「K:法令で定める割合」は「1/20」を用います。
換気では開口部の開放性が影響するため、「a:開口部の補正係数」として窓形状ごとに倍率が設けられています。
その居室で換気上有効な開口部が不足する場合は、換気設備の設置が求められます。
必要開口面積を算出するための「K:法令で定める割合」は「1/50」を用います。
排煙では有効な開口部と見做すエリアが、天井から80cm以内で、かつ、防煙垂れ壁の下端までとされています。排煙も同様に開口部の開放性が影響しますので、有効と見做すエリア内にある開口部について窓形状ごとの倍率を乗じることで有効開口面積を算出することができます。
その居室で排煙上有効な開口部が不足する場合は、排煙設備の設置が求められます。
LVSコマンドを利用して、居室の採光(L)、換気(V)、排煙(S)に関する有効開口面積を確認できます。