計算の流れ:省エネ モデル建物法


i-ARMを使用した、モデル建物法の計算の流れについて説明します。

★サンプルデータはインストールフォルダの「EcoMdlSample01」ファイルを使用しています(初期設定:C:\Program Files\i-ARM\Samples\EcoMdlSample01.armz)。



1. 計算の概要


2. 初期設定


3. 計算結果の評価


4. ゾーン属性の編集


5. 外皮・開口の編集


6. 設備の編集


7. 計算データの確認とエラーチェック


8. 表配置(根拠図の作成)


9. 出力





1. 計算の概要

Webプログラム「モデル建物法入力支援ツール」を使用した計算では、設計図書の情報をもとに建物用途ごとにExcel入力シートを作成し、WEBプログラムにアップデートする必要があります。

※「建築基準法施行規則 別記様式に定める建築物又は建築物の部分の用途の区分」に応じて区分。複数用途区分の場合には、複数用途集計機能を使用して、建物全体の結果を取得します。




i-ARMでは既存のモデルから、省エネ用モデルを自動生成し、そこから入力シート用のデータを作成します。また、計算にはWebAPIを使用することでWebプログラムに入力シートをアップロードすることなく計算を行うことができます。複数用途の際にも、複数用の集計ツールを使用する必要がなくなり、作業の効率化を図ります。また、ハードルが高いと感じている人でも、省エネ申請の理解を深めながら使用していただけるように、流れにそって設定すると計算まで簡単に行えるような機能となっています。各種根拠図の出力にも対応しています。



モデル建物法の計算では建物用途ごとに入力シートの形式の計算用データを生成し、その計算用データをWebAPIに渡して計算します。モデル建物法の入力シートの形式は以下の表のような構成となります。


シート名称

説明

様式A_基本情報

建物名称や地域区分、建物用途、階数、面積などの基本情報です。外壁となる部分の外周長さなどの情報もこちらで設定します。

様式B1_開口部仕様

開口部の幅、高さなどの仕様や窓の種類などの仕様の一覧です。

様式B2_断熱仕様

外壁や屋根、天井、外床などの断熱仕様の一覧です。

様式B3_外皮

モデル建物法の外皮となる部分とその外皮に所属する開口の一覧です。開口はB1、断熱材はB2でそれぞれ設定した名称を元に表します。

様式C1_空調熱源

計算対象部分にある空調熱源機器の仕様の一覧です。

様式C2_空調外気処理

計算対象部分にある空調対象室を対象として、その室の給排気バランスに影響を与える給排気送風機の一覧です。

様式C3_空調ポンプ

計算対象部分にある二次ポンプの一覧です。

様式C4_空調送風機

計算対象部分にある空調機の一覧です。

様式D_換気

計算対象部分の「機械室」、「便所」、「厨房」、「駐車場」に設置される機械換気設備を表します。

様式E_照明

モデル建物用途ごとに定められる計算対象部分の照明機器を表します。

様式F_給湯

計算対象部分にある「洗面・手洗い」、「浴室」、「厨房」用途のための給湯設備の一覧です。

様式G_昇降機

計算対象部分にある昇降機の一覧です。

様式H_太陽光発電

計算対象部分にある太陽光発電設備の一覧です。

様式I_コージェネレーション設備

計算対象部分にあるコージェネレーションシステム設備の一覧です。




2. 初期設定

モデル建物法を計算したいデータを開き、法規タブの「省エネモデル建物法」コマンドを実行します。

★インストールフォルダにあるサンプルデータ「EcoMdlSample01」を指定して開きます(初期設定:C:\Program Files\i-ARM\Samples\EcoMdlSample01.armz)。

省エネ計算を行っていない状態では、初期設定のダイアログが開き、一度設定してある場合は初期設定をスキップしてモデル建物法用のビューが表示されます。


①基本情報

基本情報として、建物用途などの各項目の設定を行います。

★サンプルでは、「事務所モデル」と「小規模物販モデル」(1Fにパン屋)の複合用途を設定します。また、立面ビューの北側角度をY軸180度とします。

※建物用途の設定「8. 建築基準法施行規則別記様式に定める用途」「9. 建物モデル種類」 は、後々編集できないのでご注意ください(初期設定でのみ設定が可能)。


②階設定

モデルの階情報を元に階の設定を行います。計算対象とする階かどうかや主要なモデル建物法の用途や階高を設定してください。一部例外もありますが、モデル建物法では地下階や塔屋階は計算対象外となります。

★サンプルでは、1階に小規模物販店があるモデルですが、事務所部分の方が部屋が多いためこのまま「次へ」をクリックします。



③ゾーン設定

i-ARMでは、モデルの部屋情報を元にモデル建物法用のゾーンを生成します。生成するゾーンの各設定を行います。モデル建物用途は階設定で設定した主なモデル建物用途、空調・非空調は部屋の属性から、換気室用途や照明室用途は部屋名称で推測された候補から、それぞれ自動で割付されます。

★サンプルでは、1F店舗のモデル建物用途を「小規模物販モデル」に変更し、照明の室用途を「店舗」に変更します。

計算対象部分の階数や階高の合計、床面積最大の階は、設定したゾーンから自動計算されます。変更したい場合には手動で設定を行い、「次へ」をクリックします。


④自動生成・スペック

i-ARMでは、モデル形状を元に省エネ用外皮データを自動生成します。自動生成する方法として外壁は「ゾーンの外周+階高で外皮を生成」、屋根は「天井断熱」「屋根断熱」、外床は「探す」かどうかを選択します。また、使用する断熱材や開口、設備情報の仕様スペックを設定します。換気、照明、昇降機にチェックを入れ、「次へ」をクリックします。


⑤詳細設定

詳細設定では、外皮や開口部に割り当てられた断熱材や開口の仕様を確認し調整を行います。


⑥設定の完了

すべての設定が完了したら、「OK」ボタンをクリックします。

省エネ計算用の専用ビュー、ゾーン、省エネ外皮などの必要な情報を自動生成し、WebAPI通信を行い、今の条件で計算まで行います。3Dの全体ビューと各階平面ビュー、東西南北の立面ビューが生成されており、生成した省エネ計算用の要素が確認できます。

省エネ計算用のコマンドがリボンメニューに並んでおり、計算結果はシートダイアログに表示されます。




3. 計算結果の評価

計算結果は、省エネモデル建物法のシートダイアログの「計算」で確認できます。結果を確認し、編集が必要な箇所は編集を行っていきます。



モデル建物法の判定結果は、BPIm、BEImで示されます。

いずれも基準値に対する設計値の割合で示された値で、「1.0」が省エネ基準相当の性能にあたることとなり、BPImとBEImが「1.0」以下であれば基準適合となります。

また、大規模建築物の基準や誘導基準での判定を確認できます。





4. ゾーン属性の編集

生成した、省エネ用ゾーンの属性を確認・編集したいときは、「ゾーン一覧」コマンドを使用します。空調/非空調や換気室用途、照明室用途などの属性を変更することができます。行を選択することでビュー上のゾーンを選択しハイライト表示します。

計算対象やモデル建物用途、空調/非空調を変更した際には、「非空調コア再生成」ボタンからゾーンの属性をもとに外周ラインや非空調コアラインを再算出することも可能です。





5. 外皮・開口の編集

外皮や開口の編集を行うときは、「外皮」コマンドを使用します。

外皮要素の断熱性能の変更や建具要素の性能編集、また外皮の追加入力も可能です。





6. 設備の編集

「設備」コマンドから設備の仕様や設置台数などの編集を行います。コマンド実行中にはビューの左に建物全体に設定されている設備情報が表示され、平面ビューではゾーンに設定されている換気や照明の設備情報が表示されます。

 

設備リスト:各設備の仕様リストの追加・削除・編集を行います。


設備使用リスト:モデルで実際に使用している設備機器の追加・削除・編集を行います。




7. 計算データの確認とエラーチェック

「データ確認」コマンドで計算に使用したデータの確認や、「基本情報(様式A)」の編集を行うことができます。「基本情報」で直接編集した値は入力欄の背景が青になります。更新ボタンをクリックすることでモデルから値を再計算して取得することもできます。



エラーやワーニングがある箇所は赤色や黄色の背景で表示されます。



計算時に発生したエラーやワーニングの内容は、計算結果ダイアログの「Error/Warning」ボタンから確認することができます。


エラー確認の例:

一覧の各行の分類(Sheet)と行番号(Line)を確認して、問題となった部分を特定することができます。この例では「B1」開口部仕様の「9」行目に問題があるという通知になります。




8. 表配置(根拠図の作成)

平面ビューや立面ビューに根拠の表を配置して、根拠図を作成します。シートダイアログの「表配置」から表を平面ビューもしくは立面ビューにセットボタンをクリックして、ビュー上で配置点を指示して表を配置します。

表を削除する場合には削除ボタンをクリックします。




種類

配置階

概要

各階床面積表

最下階/指定階

各モデル建物用途の対象床面積、空調床面積を階ごとに表示し、その合計を示します。

空調床面積表

各階/指定階

各階のゾーンの面積や空調/非空調を一覧表で示します。

換気・照明床面積表

各階/指定階

各階の換気、照明対象の室用途を一覧表で示します。

外周・非空調コア長さ

床面積最大階

床面積最大の階に外周長さ、非空調コア長さの根拠式を示します。

外皮面積表(平面)

各階

天井・屋根・外床などの外皮面積表を一覧で示します。

外皮面積表(立面)

指定立面

各立面における外壁の外皮面積表を一覧で示します。



【配置例】

*各階床面積表+空調床面積表


*外皮面積表(立面)




9. 出力

各種出力は、省エネモデル建物法のシートダイアログの「出力」から行います。



出力項目

説明

計算結果PDF

WebAPIを使用して建築研究所の仕様で計算結果のPDFを出力します。

Excel入力シート

計算に使用した入力シートをExcel形式で出力します。

複数用途の場合は、用途の数分出力されます。

根拠図

「平面図(空調)」「平面図(換気/照明)」「断熱範囲図(平面)」のうちチェックを入れたものを図面出力します。


*計算結果PDFの出力イメージ


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