2.6.3 複数ファイルの操作

ドキュメントパレット

【ドキュメントパレット】は、複数のファイルを一括管理し、必要な操作を複数のファイルで行えます。DRA-CADの図面ファイルのほかに、他社形式の図面ファイルや画像などの文書の管理やファイルごとにどのような図面なのかを表すキーワードを設定できます。

1階平面図と2階平面図、意匠図と構造図などの図面を重ね合わせて比較することや確認申請に必要なファイルをチェックして一括して印刷する、すべての図面の文字を検索・置換するなどが行えます。        

〔分類〕タブ

〔検索〕タブ

〔フォルダ〕タブ

一つのプロジェクトとして登録したファイルを表示して管理します。

検索時に表示され、指定した文字列を検索、または置換します。

フォルダと図面ファイルが表示され、ダブルクリックするとファイルを開きます。


[複数のファイルを印刷]

①「分類」または②「現在開いているファイル」で、☑を入れた複数のファイルを印刷します。

①または②で右クリックすると、メニューが表示されます。

[ファイルを印刷]を選択すると、[複数ファイルの印刷]ダイアログが表示され、☑を入れたファイルが「印刷するファイル」のリストに表示されます。[印刷]ボタンを実行すると、リスト順に印刷されます。

リスト内のファイルごとに印刷する/しないの設定や、印刷順、用紙の大きさ、方向などを変更して印刷も可能です。

例:①「分類」で右クリックした場合


[複数のファイルを他のファイル形式に一括変換]

①「分類」または②「現在開いているファイル」で☑を入れた複数のファイルを、他のファイル形式に一括して変換できます。変換時には、PDFとDWGなどのように2つの異なるファイル形式に同時に変換することもできます。

例:②「現在開いているファイル」で右クリックした場合

[前回終了時のワークスペース]

ワークスペースには、必ず「前回終了時のワークスペース」があり、ここにはDRA-CADを終了するときに開いていたファイルや図面の表示状態を保存します。「ワークスペース」で右クリックすると、メニューが表示され、「前回終了時のワークスペースを開く」をクリックすると、前回、DRA-CAD終了時に「開いていたファイル、図面の表示状態」で開きます。

複数のプロジェクトを作業する場合は、プロジェクトごとに保存できます。ワークスペースを切り替えることで、各プロジェクトの保存時に開いていたファイルや図面の表示状態を再現でき、すぐに作業の続きが行えます。


ファイル一覧

【ファイル一覧】コマンドは、指定したフォルダ内のファイルを一覧表示し、保存されたファイルの名称や内容を確認しながら図面を読み込みます。図面に記入された文字列を検索して、保存されたファイルを表示できます。また、ファイルのリストをCSV形式(カンマ区切りファイル)で保存できます。

一覧表示されたファイルをダブルクリックするとその図面を開き、右クリックするとその図面のコメントや作成日などの情報を確認できます。


オーバーレイ機能

オーバーレイ機能とは、作業を分担する施工図の作成や3次元モデルの作成、意匠・構造・設備などの共通データ化など、建築設計一般に行われているチーム作業(コラボレーションワーク)を支援する機能です。それぞれの担当者ごとの他のデータファイルを編集対象から外した図として参照でき、また一定時間ごと表示を更新する設定を利用すれば、作成データの進捗をダイナミックに反映させながら作業を行えます。

【オーバーレイ管理】コマンドは、図面ファイルを重ね合わせて表示でき、下地とする図面ファイルの図形にはスナップはできますが、編集することはできません。印刷時には、オーバーレイされている状態で印刷できるため、複数ファイルを合成する手間が必要ありません。

[アクティブファイル] 例:設備図

[オーバーレイファイル] 例:意匠図/構造図

以下のコマンドで個々に行うこともできます。

【オーバーレイ挿入】、【オーバーレイ削除】、【全オーバーレイ表示】
【非表示オーバーレイ指定】
、【オーバーレイのレイヤ設定】、【オーバーレイ移動】
【オーバーレイ複写】
、オーバーレイ回転】、【オーバーレイ拡大・縮小】
【オーバーレイ範囲指定】
【オーバーレイファイル編集】

また、【オーバーレイ分解】コマンドで現在表示されている図面の図形として分解できます。

【図形のプロパティ】コマンドまたは【プロパティパレット】に、オーバーレイの情報が表示され、選択したファイルの基点などを編集できます。

[オーバーレイの情報]

ファイル名

パス名

基点(X座標/Y座標/Z座標)

拡大率

回転角度

表示(する/しない)

印刷(する/しない)

スナップ(する/しない)

表示色(指定色/そのまま)

レイヤ―(すべて表示/保存時/個別指定/同期)

表示範囲(上下左右)

印刷時の属性(カラー/線種/線幅)

[利用方法]

①2次元図面をレイヤの上位表示制御として利用

通り心、躯体、意匠、構造、設備などの大くくりのレイヤ分けとして利用できます。

②施工図や3次元建物モデルなど大きなデータを部分ごとに分担して使用

共通に参照されるような通り心、躯体線は共有しておき、それぞれの分担部分を作図することや、周辺街区、建物、外構などに分けて3次元モデルを作成するような利用法が考えられます。

③図面の進捗、修正指示など記入した管理者ファイルを作成

複数の図面/モデルを統合して表示させ、図面の進捗、修正指示などを記入した管理者ファイルを作成できます。各作業担当者は、その管理者ファイルをオーバーレイ参照することで、担当部分の修正指示を簡単に確認できます。


補足

  • 参照元のデータファイルを移動または削除すると、参照している図面は表示されません。
  • 【開く】コマンドで図面を読み込み時に指定した場所に参照元のデータファイルがない場合は、外部参照ファイルの更新ダイアログを表示し、外部参照ファイルについて設定できます。
  • 参照元のデータファイルが変更された場合、参照している図面は【環境設定】コマンドの
    「その他」-「図面」-「外部参照ファイルの更新」で選択した方法で、更新します。
  • [インポート]ボタンをクリックすると、別の図面のオーバーレイ設定をインポートできます。
  • オーバーレイは、そのときのフルパス(絶対パス)と、図面ファイルのフォルダからの相対的なパス(相対パス)を保存します。ファイルを開くときには、相対パス、絶対パスの順にオーバーレイファイルを検索します。

串刺し編集

【串刺し編集】コマンドは、複数のファイル、領域を重ね合わせて一度に編集できます。

ファイルの指定、表示・非表示の切り替えが行え、図形操作などのコマンド終了時といったタイミングで各元図面に反映されます。作図時にはすべての元図面に要素を作図する場合と特定の図面に作図する場合が選択できます。

例:1F平面図

2F平面図

【図形のプロパティ】コマンドまたは【プロパティパレット】に、串刺し編集の情報が表示され、選択した図形などをファイル間で移動できます。

[串刺し編集の情報]

図面名


補足

  • 編集後、[串刺し編集中…]ファイルを上書き保存すると、それぞれの元の図面ファイルに編集内容が保存されます。
  • 串刺し編集図面は、図面を重ね合わせて表示されていますので、同じ位置に描かれた図形なども複数重なった状態で表示されます。【単一選択】 で選択すると重なった図形のうち1つだけが編集されることになりますので、複数重なった図形を範囲指定で選択して編集してください。

図面比較

図面比較のコマンドは、図面に加えられた変更を簡単に確認できる機能です。

[重ね合わせ表示 ]

2つのファイルを選択し、それぞれに指定した表示色で重ね合わせて表示、または切り替えて表示することでファイルの相違点の確認が容易にできます。

一致する部分はOR描画により、白で表示され、一致しない部分はそれぞれ指定した色で表示されます。

[連動表示 ]

複数開いた図面の同じ範囲を連動して表示します。一方のウィンドウで画面表示を変更すると、連動してもう一方のウィンドウでも画面表示が変更されます。


[図面比較 ]

2つの図面をデータとして比較し、違いのある部分、または同じ部分を強調して表示します。また違う部分だけを別の図面として作成できます。

[図面管理 ]

バックアップファイルや別名保存したファイルを時系列に並べて表示し、図面の変遷や相違箇所を把握します。また、二つの図面を指定した条件で結合します。例えば、一方にだけある図形を、もう一方の図面へコピーできます。

補足

  • 図面を開いた履歴は、ドキュメントフォルダーの「¥archi pivot¥dracad 2025¥ANALYSIS」
    フォルダー内にある「OpenFile.log」というファイルに記載されます。